『戯言』

人は生まれてからしばらくは、「先」を見て進む。

子供の頃は早く大きくなりたくて
十代の頃は将来の夢を描き
二十代では人生の目標を定める。

未来はどこまでも果てしなく
限りなく広がっていた。
二十年後、三十年後を夢想した若き日々。

けれどいつからか「先」の方が短くなる。
ある年齢を越えると、二十年後や三十年後が
自分にあるのかどうか、それまで生きているかを考える。

それは寂しさであって、悲しさでもあるのかな。

だからそれに気付いた時、人は回れ右をするんだと思った。
進行方向は変えられないけど
せめて「先」の限りが目に入らないように
後ろを向くのだと思う。

その時、「先」の代わりに目に入るのは
これまで自分が辿ってきた「過去」だ。
年を重ねるにつれ、懐かしいと思ったり
やたら昔のことを思い出したりするのは
そういう理由からなんじゃないのかなと私は思った。

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龍さん

ただ想ったこと。龍の戯言